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はりま風土記紀行

古の播磨を訪ねて~神河町編 その3

古の播磨を訪ねて~神河町編 その3

旧福本藩池田家陣屋庭園

 播磨国風土記に記載されている現在の神河町に関しての部分は、このシリーズ第5回・27回で紹介しました「神崎の郡 堲岡の里」だけです。今回は幸いなことに、11月の中旬に、姫路市の任意団体の研修に参加して、神河町を訪ねることができました。したがって、今回も前回の市川町編同様に播磨国風土記を離れた紀行文になりました。
 
 当日は、かなり北風の強い日でしたが、お昼頃からは、風も納まり丁度いいくらいの天気になり、また、ここ数日の朝晩の冷え込みで、紅葉もかなり進んでいました。ご案内いただいたのは、神河町教育委員会社会教育係の女性の学芸員さんです。沢山の文化財を紹介・案内・説明いただき、どこも素晴らしいものでした。その中で、どこを取り上げるべきか悩んだのですが、紅葉の美しかった「旧福本藩池田家陣屋庭園」にしました。
 
この庭園は、神河町福本字大黒町528番地にあり、県立神崎高等学校の南の道を東へ進んだ突き当りで、現在は大歳神社の境内に組み込まれています。池泉回遊式庭園で、絵図等の諸資料から、寛文3年(1663)池田政直(池田輝政の孫)が初代藩主として着任して間もない頃に造られたものと考えられています。庭園には、大きな池泉があり、その中心部には島も築かれていて、池泉の規模・深さから考えて、舟遊式であったのではないかということでした。ぐるっと庭園を一周しましたが、なかなか見ごたえのある庭園で、県内では残存事例の少ない大名庭園遺構ということで、兵庫県の史跡に指定されています。
 
ここ数日は、丁度紅葉の見頃ということで、夜はライトアップして、篝火も焚いているということでした。その昔、池田政直はこの庭園で、春は若葉を愛で、夏は池で舟遊びを、秋は篝火を焚いて紅葉狩りをし、そして冬は雪見と、四季折々の風情を楽しんでいたことであろうと色々思いを馳せながら、次の見学場所である福本藩池田家の菩提寺で、総茅葺きの兵庫県の有形文化財に指定されている一関山徹心寺(いっかんさんてっしんじ)へ向かいました。